2025年建築基準法改正。空き家対策と所有者への影響は?
2025.01.16
建物の敷地や構造、設備、用途に関する最低基準が定められた建築基準法。その建築基準法が改正され、2025年4月から施行となります。以下では、法改正の空き家対策への影響と、空き家所有者が行うべきことについて簡単に解説します。
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地球温暖化対策や増加する自然災害への対応、林業の活性化といった社会課題を背景に、省エネ対策、住宅倒壊防止、木材利用促進を主な目的として、建築基準法が改正されました。
全ての新築建物への省エネ基準適合義務化や、大規模木造建築物に関わる規定の緩和など、様々な改正ポイントがありますが、空き家対策に特に影響するものとしては「既存不適格建築物に対する現行基準の一部免除」と「4号特例の縮小」が挙げられます。
既存不適格とは、建築時には適法だったものの、その後の法改正でできた新基準に適合していない状態を指します。
これまで、現行の接道義務や防火規定に合わない既存不適格建築物は、増改築や大規模な修繕を行う際に、建物全体を現行の基準に適合させる必要がありました。その適合化にかかるコストや手間が、かえって建物の省エネ改修や耐震改修、利活用のハードルとなってきました。
そこで今回の改正では、安全性の確保を前提として、一定の条件を満たせば現行基準への適合を免除されるようになりました。
改正前は、木造2階建など一定の条件を満たす小規模な空き家(「4号建築物」)は、建築確認申請なしでリノベーションすることができました。
しかし改正後には、木造2階建や延床面積200㎡以上の木造平屋であっても、大規模な修繕・模様替えを行う際は新築や建て替えと同様に、確認申請・検査が必要となっています。また、確認申請時には構造や省エネに関する提出物作成も必要となるため、そのコストや手間がかかることが見込まれます。
こうした負担を避けたい場合は、「大規模な修繕・模様替え」に当たらない内容でのリノベーションを行うことになります。大規模な修繕・模様替えとは、建築基準法で「主要構造部の一種以上過半の修繕・模様替え」と定められており、主要構造部とは壁や柱、床、屋根などを指します。しかし、こうした法の解釈や役所とのやりとりは一般の方にとって難しく感じられるかもしれません。
図:4号特例の対象の変更および提出図書の内容(画像出典:「2025年4月(予定)から4号特例が変わります」国土交通省)
また、再建築不可の物件は法改正前から原則として確認申請ができないため、今回の法改正により、そのままでは「大規模な修繕・模様替え」に当たる改修が事実上できなくなります。改修がしづらくなると、売却のハードルも高くなることが予想されます。
接道義務を満たすようにすればこうした問題が解消されますが、接道させるには隣地所有者等の協力が必要となる場合がほとんどです。
このように今回の法改正には、空き家のリノベーションや利活用を促進する側面と、抑制する側面の両方があります。
改正内容には空き家対策のハードルを高くするものも含まれますので、法解釈や関係各所との調整に関してノウハウを持つ専門家に早めに相談することで、空き家を資産にする選択肢を多く残すことができるでしょう。
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