空き家を民泊(宿泊施設)にするには?開業までの流れと手続きを解説
2025.10.07
空き家を資産とするために、インバウンド需要の高まりを受けて民泊(宿泊施設)としての活用を考えている方もおられるのではないでしょうか?
空き家を宿泊施設(民泊・簡易宿所・ホテル等)として活用する場合、法的な位置づけや用途変更、地域の条例などを踏まえて進める必要があります。
そこで今回は、あきラボでも民泊活用として再生した実例を踏まえ、空き家を宿泊施設にするための条件から開業までに必要な手続きと流れについて簡単に解説します。
この記事は、特に下記の方々におすすめの内容です:
まず、空き家を民泊(新法民泊)として活用するには、以下の設備要件と居住要件を満たす必要があります。
設備要件
居住要件
以下のいずれかに該当する必要があります。
空き家の場合、多くは「2.入居者を募集している住宅」または「3.所有者などの居住の用に随時供されている住宅」に該当します。
空き家を宿泊施設として運用するには大きく分けて以下の選択肢があります。
住居専用地域での運営が可能で、他の種類と比較して申請が容易であり、開業のハードルが低いとされています。ただし、人を宿泊させる日数は年間180日を超えないものと定められています。家主が運営をしない場合(賃貸したり業務委託する場合など)は、国土交通大臣の登録を受けた住宅宿泊管理業者への委託が必要となります。
国家戦略特別区域として指定された地域(例: 大田区、千葉市など)で、旅館業法の特例を利用して運営されます。自治体が定める条例に基づいて行われ、年間営業日数に制限がない場合が多いですが、最低宿泊日数に制限があります(大田区は2泊3日以上)。外国人観光客の滞在に必要な役務提供(外国語案内など)も条件です。新法民泊と同様に用途を住宅のまま利用できるメリットがあります。
旅館業法に基づき許可を取得して開業します。「簡易宿所営業」として許可を取得するケースが多く、民宿、ペンション、カプセルホテルなどが該当します。この方法であれば、年間180日を超えて営業できます。ただし、客室の床面積や換気・入浴設備などの一定基準を満たす必要があります。
図:国土交通省による民泊制度ポータルサイト「minpaku」
宿泊施設を合法的に運営するためには、物件の調査から各種法令の確認、行政への届出、さらには税務・法務面の対応まで、複数のステップを踏む必要があります。
まず、事業を予定している物件が立地と構造の両面で宿泊施設の基準を満たしているかを確認します。自治体によっては、周辺住民への事前周知が必要となる場合もあります。
項目 | 詳細な確認事項 |
用途地域 | 都市計画法に基づき、その地域で宿泊施設(旅館業・住宅宿泊事業)の営業が認められているかを確認。 |
建築基準 | 用途変更(住宅→旅館等)が必要かどうかを確認します。必要であれば建築確認の申請を行う。 |
周辺環境 | 接道条件(緊急車両の通行など)、駐車場の確保、そして騒音問題など、周辺住民とのトラブルを避けるための配慮が必要。自治体によっては、周辺住民への事前周知が義務付けられている場合もある。 |
消防基準 | 避難経路の確認、非常用照明・消火器の設置が必要。延床面積が大きい場合はスプリンクラーの設置も。 |
消防署へ事前に相談し、上記の基準に従って必要な消防設備を整えます。その後、消防署の査察を受け、設備が法令に適合していることの証明となる「消防法令適合通知書」を取得します。これは行政への届出・許可申請の際に必須の書類となります。
開業する事業形態(旅館業か民泊か)に応じて、行政へ正式な手続きを行います。
事業形態 | 申請先 | 必要な手続きと要点 |
簡易宿所・ホテル (旅館業) | 保健所 | 営業許可申請(旅館業営業許可)が必要です。これは施設ごとの許可であり、所有者自身が事業者となって申請でき、特別な資格免許は不要です。 |
住宅宿泊事業 (民泊) | 都道府県 | 住宅宿泊事業届出が必要です。個人の場合、住宅の登記事項証明書や図面、欠格事由に該当しない旨の誓約書などの書類を提出します。運営管理を委託する場合は、住宅宿泊管理業者(国土交通大臣登録)が請け負う必要があります。 |
上記の手続きが完了し、審査を経て営業許可が下りるか、届出が受理されると、「営業許可証」または「届出完了証」が交付されます。
これにより、OTAサイト(Airbnb、Booking.comなど)への登録を行い、運営を開始できます。
営業開始後も、事業運営に合わせた税務・法務上の対応が必要です。
宿泊事業を円滑に開始・運営するためには、物件の改修や必要な設備の導入に加え、安定した運営体制の構築と効果的な集客戦略の立案が欠かせません。
宿泊施設の開業や既存物件の改修にあたっては、国や地方自治体が提供する空き家活用、観光振興、または環境配慮型の工事に対する多様な補助金・助成金があるため積極的に活用を検討します。
宿泊施設事業の成功は、法令順守と徹底した事前準備にかかっています。
事業計画の策定、物件の適合性確認、資金調達、そして法的な許可・届出を順序立てて行うことが、安定した運営の基盤となります。
「あきラボ」は民泊としての活用実績があり、民泊運営事業者との提携もしております。
空き家活用や宿泊事業の計画でお困りの際は、「あきラボ」へお問い合わせ、ご相談ください。
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