相続登記の登録免許税が免除になるケースとは?空き家所有者は土地の相続登記の有無を要チェック
2024.06.27
2022年度に税制が改正され、相続登記の際にかかる登録免許税の免税措置が、延長および対象拡大となりました。空き家問題も背景にある今回の改正。以下では免税措置の対象と空き家所有者が行うべきことについて簡単に解説します。
相続登記とは、不動産等の所有者が亡くなって相続がなされた際に、亡くなった方から相続人へ不動産等の名義を変更する手続きです。
2024年4月1日から相続登記の申請が義務化され、相続や遺贈によって不動産を得た場合は3年以内に相続登記を行う必要があります。また、2024年4月1日以前に相続を受けた場合も、2027年3月31日までに相続登記をしなければなりません。登記を怠った場合は10万円以下の過料が課せられる可能性もあるため、相続する前から話し合いや準備を進めておくことが重要になります。
▼相続登記の義務化について詳しく
「2024年4月から相続登記が義務化。空き家所有者への影響とは?」
今回の改正を経て免税措置が適用されるのは主に以下のケースです。いずれの特例も、全国に存在する所有者不明土地の利用の円滑化を目的に、相続人が相続登記を速やかに行う動機付けとして設けられています。
一方で、建物の相続登記は免税措置適用外なので注意しましょう。
①相続により土地を取得した者が相続登記をせずに死亡した場合
相続・遺贈により土地の所有権を取得した人が、所有権移転の登記を受ける前に亡くなった場合、その人を土地の所有権の登記名義人とするための登記については、2025年3月31日までに申請をすれば登録免許税が課されません。
下の図で言えば、故人Aさんから故人Bさんへの相続登記がなされていない場合、現在の相続人であるCさんが、相続登記を申請して登記名義人をAさんからBさんに変える分には登録免許税がかからないことになります。
一方、故人BさんからCさんへの相続登記については通常どおり登録免許税がかかります。
②価額が100万円以下の土地を相続で取得した場合
不動産の価額が100万円以下の土地を相続した場合、2025年3月31日までに所有権移転あるいは所有権保存の登記には、登録免許税が課されません。
図:法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」
法や税制の改正は、不動産の所有者を明確にし、その管理責任の所在をはっきりさせる方向へ動いています。
空き家とともに土地を相続した方は、一代前の相続登記が行われているかを確認し、免税措置のあるうちに登記申請を済ませることで税負担を軽減できます。また、少額の土地を相続した方も早めに相続登記の申請をしておきましょう。これから相続する予定の方も、相続登記を見越して今のうちから家族間での話し合いや準備をしておくことが大切です。