【オーナーインタビュー#01】相続で引き受けた築60年・借地権の空き家を再活用するまでの道のり
【オーナーインタビュー#01】相続で引き受けた築60年・借地権の空き家を再活用するまでの道のり
2024年3月
東京都世田谷区
4分
木造
地上2階
62.38㎡
元住宅→店舗併用住宅・SOHO
個人
企画・運営管理:Japan.asset management/BIM設計:MAKE HOUSE/施工:Rrise/リーシング協力:omusubi不動産/借地交渉協力:市萬
「築60年・既存不適格・借地権付き・検査済証なし」という難易度の高い空き家を、あきラボ事業者が家賃保証付きでマスターリースの上、自社投資事業としてリノベーション。ご契約までにオーナー様への収支計画の再提案や、構造部の補強、借地契約の増改築承諾料に関する地主様との交渉など様々な調整を行いました。従来の住む場所から店舗併用住宅・SOHOへと場を再定義・バリューアップし、飲食業を営む方々に店舗兼住居としてお使いいただいております。
【オーナーインタビュー#01】相続で引き受けた築60年・借地権の空き家を再活用するまでの道のり
今回は、世田谷区松原に建つ築60年、お母様が所有する借地権付きの小さな空き家を御子息であるK様より2023年1月にご相談をいただき、2024年4月に、SAIKATSU「かりあげ+0円リノベ」のスキーム(仕組み)にて賃貸借を開始したケースをご紹介します。(2024年4月、house Matsubaraにてインタビュー)
-ご相談に至った背景を教えてください。まず、このお家はどのように入手されたものでしょうか?
Kさん:母が相続した家になります。元々、祖父母が建てた戸建住宅で、母も結婚までの少しの間住んでいたそうです。やがて祖父母が亡くなって、おじが引き継いで暮らしていたのですが、そのおじも高齢で使わなくなり、2018年ごろ空き家となりました。
-相続の際はご親族の間でこのお家についてどのように話されていたのでしょう?
Kさん:存命のきょうだいの中では母がこの家に一番近かったことや、この家に住んでいたおじの面倒を時折見ていたことから、母が相続する流れになりました。ただ、親族の間でもこの家が価値になるとは誰も思わず、むしろ「負の財産では」とまで思っていました。
Before:ひび割れや色褪せが見られる外壁
Before:生活の名残を感じる2F。土砂が入り込んでいる
-今回、空き家活用に向けて動き出したきっかけを教えてください。
Kさん:空き家になってから約5年、そのまま何もしていませんでした。というのも用途が思いつかなかったんです。夏に雑草を刈りに来たりはしていて、何か使い道があればと思ってずっと考えてはいたのですが、特段すぐに必要というわけでもなく、なあなあになっていました。
ですが、借地権の更新時期が近づいてきて、毎月の借地料の支払いも負担だったので、売却・活用に向けて動き始めました。また、空き家にしている間の管理が難しく、近隣の方から「ずっと空き家が続いていると危ない」と不安の声があったこと、知人から空き家の固定資産税が上がるかもしれないという話を聞いたこともきっかけです。
-ちょうど昨年末に空き家特措法が改正されて、維持管理の不十分な空き家に対して固定資産税の軽減措置を外すことも含めて指導が入るようになったばかりですね。税負担リスクについてのご相談が増えているので、法改正が意識改革にはなっているようです。
Kさん:まさに意識改革になっていましたね。
house Matsubara内を見学するKさんとあきラボ内山
-空きラボへ相談することにした経緯を教えてください。
Kさん:一番初めは、借地権自体が売れないかと考えました。借地権の更新料が結構大きな金額でしたから、更新前に手放すことも考えていたんです。色々と売却の可能性を探ったのですが、なかなか欲しいという方がいらっしゃらず、話がまとまりませんでした。
それで他に使い道がないかなということでインターネットで調べて、せたがや空き家活用ナビに相談してみました。すると複数社からお声がけがあり、具体的な提案までいただいたのは御社含めて2社でした。
もう一社の提案は、10年借り上げで家賃収入が月5000円ほどという条件で、お断りしました。5000円だと保険料もまかなえないですし、ましてや借地料などという金額でさすがに現実的ではない。「10年後に家が返ってきます」というお話だったのですが、私は正直この家が10年後あるのかどうかもわかりませんでした。10年先の未来を見いだせなかったんですね。
その後、話だけでもと思って御社に相談したんです。
初めの提案では、自分の持ち物件として空き家を活用していただくならものすごく良いビジネスだなと思いました。ただ私たちの場合、借地権の更新料と内装造作の費用を地主さんにお支払いしたばかりで、毎月の借地料という負担もあるという、そこからのスタートです。なので、空き家の状態が悪く改修費がかかるとはいえ、提案された初期投資額を負担に感じました。もちろん、毎月の家賃をいただけて8年後にはお返しいただけることについては魅力的だなと思っていました。
なので、借上期間中のメリットがもう少しあればというところだったのですが、その後臨機応変に改修内容や負担区分を調整していただけて再提案いただいたので、「これであれば空き家のままにしておくよりは」と思って進めることにしました。
-相談してみていかがでしたか?空きラボとともに活用へ向かう中でも色々ありましたね。
Kさん:いざ壁を部分解体してみたら構造部分がシロアリにやられていた、ということがありましたよね。
補強が必要となると、借地契約の増改築承諾料を払わなければいけない。多額の増改築承諾料がかかればとても割に合わなくなってしまい、活用も厳しいかなと思いましたが、色々と動いていただいて。承諾料が当初の半分になりましたから、大変助かりました。それがなかったら正直やっていなかったと思います。自分で大きな持ち出しをしてまでやるほどの、と思っていましたので。
−そうですよね、私たちもスタートしてみて分かった部分でした。増改築承諾料のかからない工事内容であれば、Kさんのご負担ももっと抑えられたかもしれません。ですが、借り上げている8年の間建物を使えればいいという話ではなく、むしろ8年目以降どのように優良な資産にするかが重要だと思いましたので、やはり補強は必要と考え、地主さんとの交渉にチャレンジしました。お互いに覚悟をしなくてはならなかったところは確かにありましたよね。
Kさん:結果すごくよかったかなと思っています。
After:スケルトン状態の1Fと、構造を補強した柱と壁(写真奥)
After:外壁のクラック(ひび割れ)を補修し塗装。すっきりとした印象に刷新された外観
−実際に出来上がってみていかがですか?
Kさん:今回このように再生してもらってびっくりしました。 こんなに変わるのかというぐらい変わっていました。築60年の建物が再生されて次の方に引き継がれて使っていただけるんですから、私としては本当にやってよかったなと思います。
−こういった建物が生まれ変わるには、使い手も含めて受け継ぐ感覚がないとなかなか難しいですね。単なる不動産情報として募集してしまうと「坪いくら」という話になってしまいますが、今回は改修前の段階から話をしたことで、建物の使い方を一緒に考えてくれる方、発展的につないでいく感覚のある方に入居いただき、店舗併用住宅として利用いただけることになりました。
Kさん:あと、建物の使い道ですよね。ご相談する前には、借り手が見つからなければ自分でなんとかしなきゃと思っていたので、自分でも色々と調べていました。例えばデイケアの待合やコンテナハウスのような貸倉庫。あと普通に賃貸としてしかイメージがなかったです。なので今回のように二つの用途、店舗併用住宅という想像はしていませんでした。
それから、こういうビジネス自体をあまり知らなかったのですが、すごくいいですよね。本当に選択肢が限られていて、もう取り壊すのか売るのかくらいの究極の選択になっていたので、第三の選択肢が増えたということはまちにとってもオーナーにも本当にメリットがありますよね。
この家の再生のことは、母ももしかしたら私以上に気にかけていました。今日ここで撮った写真を見せたいですし、お店がオープンしたら一緒に訪れたいですね。
−ぜひ!本日はお時間をいただきありがとうございました。
house Matsubara前で話すKさんとあきラボ内山
定型文説明が入ります。定型文説明が入ります。定型文説明が入ります。定型文説明が入ります。定型文説明が入ります。