【レポート|ケース#03】空き家活用セミナー・見学会開催報告「再建築不可の空き家を民泊へ:用途転換の成功戦略」
【レポート|ケース#03】空き家活用セミナー・見学会開催報告「再建築不可の空き家を民泊へ:用途転換の成功戦略」
2026年7月
東京都大田区
9分
木造
地上2階建
93.33㎡
63.62㎡
元住宅→民泊
個人
事業主・企画・基本設計:Japan.asset management/設計施工:groove agent/運営:Good Space
相続を機に売却を希望されていたオーナー様から物件を買い取り 、Jam社が事業主となって特区民泊へと活用、ga社と共同でリノベーションを実施しました。調査解体時に見出された、鉄骨の梁やガラスブロックといった「先代のこだわり」や木の架構の美しさを活かしつつ 、大胆な吹き抜けや本格サウナを設けて現代の長期滞在ニーズに合わせて機能を整備。現在は『MUKU Stay -zoshiki-』として 、地域と共生しながら新たな活気を呼び込む場所へと生まれ変わっています。
【レポート|ケース#03】空き家活用セミナー・見学会開催報告「再建築不可の空き家を民泊へ:用途転換の成功戦略」
2026年7月31日、東京都大田区仲六郷にて、Japan. asset management株式会社(Jam)と株式会社groove agent(ga)の共同主催による「空き家活用セミナー&完成見学会」が開催されました。
本プロジェクトは、出口戦略が極めて困難とされる「再建築不可・借地権」という築48年の空き家を、Jamが自ら買い取り、事業主として特区民泊『MUKU Stay -zoshiki-』へと再生させた、空き家活用プラットフォーム「空き家リノベラボ」の「BAIKATSU(すみつぐ売却)」第1号事例です。当日のセミナー内容と現地の様子をレポートします。

<イベント概要>
空き家を「稼ぐ家」へ!空き家活用セミナー&実践解説【完成見学会】 in 仲六郷
再建築不可・借地権の築古戸建てを特区民泊へ−アダプティブリユースの可能性−
日時:2026/7/31(金)14:00-19:30
会場:東京都大田区仲六郷3-22-3「仲六郷の家」(MUKU Stay -zoshiki-)
料金:入場無料
詳細: https://aki-labo.jp/news/event12_nakarokugo/
第1部では、あきラボ発起人でJam代表の内山博文より、日本の空き家を取り巻くジレンマと、既存の「住宅再生」の限界について語られました。
都市部にこそ潜む「空き家」のリアル
空き家問題は地方特有の課題と思われがちですが、空き家の数で見ると東京都の世田谷区・大田区が全国トップ2となっています。国土交通省「空き家所有者実態調査」によると、空き家発生の約55%は相続がきっかけであり、親の実家を引き継いだものの、自身は既に家を持っているため、とりあえず親が住んでいた状態のまま放置されるケースが多くあります。
「住宅のまま」再生することの限界
こうした物件は、老朽化はもとより、既存不適格や検査済証なし、再建築不可などの課題を抱えている場合も少なくありません。「法的な規制の強化やコスト高」「資金調達や税金・運用リスク」といった障壁が絡み合う中で、どこに相談してよいかが分からず、出口戦略は膠着状態に陥っています。一方で、新築住宅が毎年大量に供給され続けられていることで、人口減少の日本では単に「住宅のまま」貸し出すだけでは市場に受け入れられず、立ち行かなくなることが予想されます。
解決策としての「アダプティブリユース」
これに対し、今回のプロジェクトでJamとgaが取り入れたのが「アダプティブリユース」という考え方です。アダプティブリユースとは、既存建築の特性や文脈を活かしながら現代のニーズに合わせて⽤途や価値を更新すること。本プロジェクトは、放置すれば負債になりかねなかった空き家を、デザイン性や機能面、性能面を向上させつつ、立地の特性もふまえて特区民泊へとアップサイクルさせた最新事例です。

第2部では、設計・施工を担ったga社の川島優太氏を交え、難物件を合法的に、かつ魅力的に再生するためのノウハウが公開されました。
「微動探査」による効率的な耐震診断と計画策定
図面や検査済証がない築古物件の再生において、最大の不安は耐震性能です。今回はその調査に、壁や柱を壊さずに建物の揺れ特性を調査する「微動探査」を導入しました。通常の耐震診断よりローコストで現状を把握でき、客観的なデータに基づく合理的な判断が可能となります。
建築基準法の読み解きと改修範囲のコントロール
現行法において違法性が高い物件や再建築不可物件は、建築確認申請を通すハードルが非常に高いため「大規模改修ができない」と思われがちです。しかし、壁や柱、階段などの「主要構造部」に関わる工事であっても、改修範囲がその部分の過半に満たなければ確認申請の対象外(建築確認が不要)となります。また、現在の建築基準法では、200㎡以下の物件であれば宿泊施設への用途変更に伴う確認申請も不要です(今回は特区民泊のため元々不要です)。なお、建築確認申請が不要となる場合でも、消防法・保健所基準(避難経路図の明示・防炎仕様等)のクリアは別途必須です。
本プロジェクトではこの特例を活用しつつ、主要構造部の改修範囲を1/2以下に設計・施工でコントロールすることで、合法的かつ効果的なバリューアップを実現しました。
Jamが自らリスクを取る「事業主」としての決断
今回の最大のポイントは、Jamが自ら物件を買い取り、事業主として運営まで責任を持つ点にあります。底地権者との協議・権利調整や近隣住民とのコミュニケーションを重ね、自らリスクを取ることで「再建築不可物件であっても、適切な設計と運営を組み合わせれば十分に事業化できる」ことを実証しました。
空間としては、宿泊客のメインとなる外国人旅行者から見た日本らしさを意識し、Jam社・ga社の共同で「古い建物のポテンシャルを最大限に引き出す無垢なデザイン」をコンセプトとしました。
1階:開放的な一体空間とサウナ体験
解体時に現れた築48年の力強い「木の架構(柱や梁)」をあえて露出させ、意匠として活用。また、近隣に温泉や銭湯が多い地域性を踏まえつつ、滞在体験の価値を高めるために本格サウナと開放的なサニタリーエリアへと刷新しました。

2階:既存の趣を活かした宿泊空間
既存の和室が持つ落ち着いた雰囲気を残しつつ、2階の床の一部を抜いて大胆な吹き抜けを設けることで、1階とつながる開放的な一棟貸し空間を演出しています。
築古戸建は、部分解体する度に課題と魅力の両方が現れていきます。工事を進めていく中で仕上げを考えるライブ感は、設計者にとっても非常に刺激的な体験でした。
セミナー後半の質疑応答とディスカッションでは、実務に即した具体的な議論が交わされました。
建物の「想い」を次世代へつなぐ再生
参加者からは、建物のストーリーに関する質問が寄せられました。一部に鉄骨の梁やガラスブロックの意匠、しっかりとした床下の造りなど、先代が非常に想いを込めて建てたことが伝わってくる今回の建物。そうした先代のこだわりを「特区民泊」という新たな用途で活かすことで、建物を価値ある資産として引き継いでいます。
地域共生と「顔の見える運営」の重要性
民泊運営において課題となりやすい近隣住民との関係構築において、Jamは運営パートナーとともに町内会へ直接出向き、誠意を持った説明を重ねました。その結果、特区民泊で義務付けられている「駆けつけ規定」の協力者も見つかりました。連絡体制を明確にし、運営者の顔が見えるようにすること、逃げも隠れもしない姿勢を示すことが地域との信頼構築の鍵となります。
宿泊体験の付加価値と安全性の両立
事業面においては、羽田空港から車で約25分という好立地を活かし、訪日外国人ファミリーやグループ客をターゲットに据えています。最大6名が滞在可能な広さ、木の架構が露わとなった空間、本格サウナといった要素で高付加価値化を図っています。
また、デザイン上の見どころである吹き抜けは、2階の床面積(重量)を減らすことで建物の地震荷重を軽減するという、耐震上のメリットも兼ね備えています。

本プロジェクトの施設名称は『MUKU Stay -zoshiki-』(ムクステイ)。 無垢材の心地よさはもちろん、かつてここで暮らした家族と同じように地域や建物の素の良さを楽しんでもらいたい、という意味が込められています。
Jamは今後も、借り上げ・買い取りを問わず、自ら事業主として民泊をはじめとする空き家再生に取り組み、負債化しがちな空き家を価値ある資産に変え、地域の資産にするための選択肢を提示し続けます。
不動産や実家の活用にお悩みの方、また協業をご検討のパートナー企業様は、ぜひ「空き家リノベラボ」までお気軽にお問い合わせください。
定型文説明が入ります。定型文説明が入ります。定型文説明が入ります。定型文説明が入ります。定型文説明が入ります。